蚊取り線香
暖かくなってくると、あちこちで蚊に刺されたという声が聞こえてくる。いよいよ蚊と格闘しなければならない季節がやってきた。蚊と言えば、蚊取り線香が昔からの定番だ。どこの家でも蚊取り線香の準備を始めたのではないだろうか。薬局や量販店でも店頭で蚊取り線香を見かけるようになってきた。

ところで、蚊取り線香という名前を聞いて疑問に思ったことはないだろうか?名前通りなら蚊が取れるはずだが、実際に蚊が取れたところは見たことがない。「蚊取り線香」ではなくて、本当は「蚊よけ線香」ではないのか。と言いたくなってしまうのである。一体、蚊取り線香とは何者なのか調べてみよう。

蚊取り線香というのは、蚊を駆除する目的で、線香に除虫菊の有効成分(ピレトリン)や、類似のピレスロイド系成分を練り込んだ燻煙式殺虫剤だそうである。一応、殺虫剤の一種らしい。

原料は、粕粉(除虫菊の地上部分を半年間乾燥させたもの)、タブ粉、でんぷん、ピレスロイド、染料など。粉末状、棒状、渦巻状などに成形される。渦巻き状のものでは、製品によって右巻きのものと左巻きのものとがある。色は緑色がほとんど。一般には、6〜7時間燃焼するものが多いが、燃焼時間2~3時間程度の小巻の物や、ペット用などでは12時間程度燃焼するものもある。主な生産地は和歌山県有田市付近など。 (Wikipediaより)
除虫菊というのが原料らしいが、いったい何だろうか?蚊取り線香でお馴染みのKINCHOのホームページに次のような説明がある。

原産国は地中海・中央アジアといわれ、セルビア共和国(旧ユーゴスラビア)で発見されました。この花は古くから殺虫効果があることが知られており、現在もケニアをはじめ世界各地で殺虫剤の原料として栽培されています。殺虫成分ピレトリンは花の子房に多く含まれています。
  日本では弊社の創業者である和歌山県出身の上山英一郎(うえやま えいいちろう)が明治19年(1886)にアメリカのH.E.アモア氏から除虫菊の種子を贈られ、渦巻型の蚊取り線香を発明しました。 上山英一郎は和歌山県や広島県・香川県を中心とした瀬戸内地方、北海道など日本の各地で除虫菊の栽培を奨励しました。
 第二次世界大戦前は盛んに生産され、日本から世界中に輸出されて産業振興に貢献しました。しかし第二次大戦後はピレトリン類似化合物のピレスロイドが殺虫成分の主流となり産業としての除虫菊の栽培は現在では終了しています。
(注 除虫菊は、そのままの状態では殺虫効果はほとんどありません)。 (KINCHOホームページより)
除虫菊はキク科の多年草で「シロバナムシヨケギク」と言うそうだ。名前からしてムシヨケだから、大したもんだ。蚊取り線香は日本人が発明したものだが、その原料除虫菊は海外から渡ってきたものだ。写真を見てみると普通の菊の花だ。見た目にはとても殺虫成分があるとは思えないが、これを発見した人は偉いと思う。

使用するには、先端に着火し、最初に出る炎を吹き消して燠の状態にする。このようにすると不完全燃焼によって煙が立ちのぼるようになる。この煙に蚊を殺す効果があると思われがちだが、燃焼部分の手前で高温により揮発する化学物質(ピレスロイド)に殺虫作用があるとされる(煙と異なり目には見えない)。現在は、化学的に合成したピレスロイドが主に使われている。除虫菊の代わりにレモングラスの成分などを使用した製品もあるが、そちらには忌避効果はあるものの殺虫効果は無い。 (Wikipediaより)
なるほど、煙に殺虫効果があるのではなくて目には見えない成分が広がっていくわけだ。垂直に立ち上る煙を見て部屋中に行き渡らせようと、うちわで扇いだり、扇風機を当ててみたりするのは無駄な努力だったのだ。ましてや、蚊取り線香にまたがって煙に包まれようとするのは愚の骨頂だろう。現在は化学合成でピレスロイドを作っているそうだが、そういえば、電子蚊取り機の薬剤の箱に「有効成分…(ピレスロイド系)」と書かれている。昔も今も基本的な成分は変わっていないようだ。


日付 2008年7月2日



inserted by FC2 system